はじめに
近年は、製品だけでなく環境に対する企業の姿勢までもが評価される時代になって来ている。20〜30年程前は、容器や配管から薬液その他の危険な化学物質が漏れていてもそれが環境汚染とは思わず、単に液が漏れた、身体にかからなくて良かった、などと地面にこぼれていても大して気にも留めず、流れ出た漏出液を地中や川に流していた。乾いてしまえばもう問題は解決したと思っていたように思う。従って、何の対策も講じず生産を続けた結果、汚染土壌の浄化と言った形で今その時代のツケを支払わされている。今になって思うと、景気の良かったその時代に少しだけ漏れに対して気を配り何らかの手を打っていれば、土壌浄化の費用をもっと有益な分野に使えたものを、言葉通りドブに捨てているのだと思うが如何お考えになるだろうか。「今は不況だから、もう少し景気が上向いてきたら」などと言っている間に漏れは起きるのである。もう繰り返しは避けたいものである。
配管技術(日本工業出版)2004・2月号 抜粋